ウクライナの電力供給、今冬最も逼迫の恐れ IEAが支援呼び掛け
(CNN) 国際エネルギー機関(IEA)は19日、ウクライナの電力供給は今冬「深刻な混乱」に見舞われる恐れがあると警告し、ウクライナの友好国に対し、同国のエネルギー安全保障の取り組みを支援するよう求めた。
ロシアは2022年2月の全面侵攻以来、ミサイルやドローン(無人機)でウクライナのエネルギーインフラを繰り返し攻撃してきた。爆撃は最近になって激化しており、冬が近づくなか、ウクライナは危険な状況に置かれている。
IEAは今冬がこれまでで最も厳しいものになるとみている。
ロシアは先月、ウクライナに対して侵攻開始以降最大規模の空爆を仕掛け、主にエネルギーインフラに200発以上のミサイルとドローンを発射した。この猛攻により、ウクライナの複数の都市で停電が発生し、数百万世帯が影響を受けた。
IEAの報告書によると、ロシアによる先月の攻撃以前からウクライナ発電能力は3分の2以上がロシア軍による破壊や占領などにより停止していた。
そのため、水供給に影響を与える場合もある輪番停電がウクライナの日常になっている。
IEAはウクライナの電力不足が今冬、最大6ギガワットに達する可能性があると推定している。これは、予想されるピーク需要のほぼ3分の1に相当する。
報告書はウクライナとその友好国が同国のエネルギー供給のリスクに対処するため実施すべき10の対策を概説している。これには、重要なエネルギーインフラの物理的な安全とサイバーセキュリティーの強化、修理用の機器やスペア部品の迅速な配送、欧州連合(EU)からの電気や天然ガスの輸入能力の増強などが含まれる。
一方で報告書は、今後数カ月にわたりウクライナにおけるエネルギー供給の最低レベルを守る「はるかに重要な」対策は効果的な防空だと指摘している。
EUはウクライナが冬を乗り切るための支援として、1億6000万ユーロ(約250億円)を拠出する。金額の大部分は凍結されたロシア資産の収益から支出される。
フォンデアライエン欧州委員長は19日、記者団に対し「ロシアが自ら引き起こした破壊の代償を払うのは当然だ」と述べた。