子どもの命のためにガザを脱出した記者、罪悪感にさいなまれる日々

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空爆を避けてガザを離れた経緯をCNNに語るパレスチナ人記者Y・エルサイードさん/CNN

空爆を避けてガザを離れた経緯をCNNに語るパレスチナ人記者Y・エルサイードさん/CNN

(CNN) 中東の放送局アルジャジーラ英語版のパレスチナ人記者ユムナ・エルサイードさんは、パレスチナ自治区ガザを離れて10カ月になる。自分の子どもたちを救うにはそれしかなかったと分かっていても、「最も苦しい決断の一つ」だったと振り返る。

「最大の不安は常に、家にいる子どもたちの安全だった。空爆でいつ子どもたちを失ってもおかしくなかった」。エルサイードさんはCNNにそう語った。

「脱出せざるを得なかった。子どもたちの命を守るため、ほかに選択肢はなかった。何度も脅かされ、6回以上避難した。生活は1日ごとにますます困難になるばかりだった」

エジプトで暮らす今も、生き残った者としての罪悪感にさいなまれ、「身体的、感情的、精神的に大きな打撃を受けている」

ガザの惨状は報道が過少すぎるとエルサイードさんは批判する。一般の人が見ている状況は、パレスチナのジャーナリストやガザの住民自身が伝える「自分たちに対する戦争犯罪」だと指摘した。

エルサイードさんはガザ南部ハンユニスのナセル病院で出会った少年のことを振り返った。少年はバックパックを胸にしっかり抱いていた。「『僕のバックパックに何が入ってるか分かる?』とこの子は私に尋ねた。私は答える前に、バックパックの下に血が見えた。まさに血の場面だった。中に何が入っているのか、そこで分かった。少年が私に何を語ろうとしているのかが分かった」

それは少年の5歳のきょうだいだった。「私には記録する勇気がなかった」とエルサイードさんは打ち明ける。

「自分に伝える勇気がなかったことに、いつも罪悪感を感じる」「私がすぐに反応できず、記録もしなかったので、少年を落胆させた。私は何日も自分を責めた。10カ月たっても乗り越えられない。これからも決して乗り越えられないだろう」

ガザの戦争が始まってから1年。昨年10月7日以前も、ガザの生活は「普通ではなかった」という。

「私たちに旅行の機会はなく、世界中の家族のように単純な休暇の計画も立てられなかった。たとえ経済的な手段があったとしても。誰かが病気になっても、別の場所で救命治療を受けさせられるのか、それともガザで死ぬことになるのかは分からなかった」。その責任は、市民ではなく、イスラエルとガザの問題に関する西側の政府や政治家の「二重基準」にあるとエルサイードさんは訴えている。

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