イスラエル軍、ガザ北部の難民キャンプを再び包囲 中部では空爆で25人死亡
(CNN) イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザ地区北部のジャバリヤを包囲して、新たな地上攻撃を開始した。同地でほぼ1年にわたって戦闘と攻撃を続けているにもかかわらず、武装組織ハマスに復活の兆候がみられるとしている。
イスラエル軍はレバノンの武装組織ヒズボラに対する攻撃をエスカレートさせる一方で、ガザ全土で作戦を継続し、以前ハマスを排除したとしていた地域に再び照準を合わせている。
ガザ中部でもモスク(イスラム教礼拝所)や学校がイスラエル軍に空爆され、病院関係者によると少なくとも25人の死亡が確認された。イスラエル軍は、いずれの建物もハマスが使っていたと主張している。
5日から6日にかけては、ガザ北部で「武器貯施設」とされる地下の施設やテロリストの拠点などを空爆したと発表した。
イスラエル軍は、同地でハマスのメンバーの存在や「作戦能力の再建」に向けた動きを確認し、「解体」させるための作戦を遂行したと説明している。
ハマスの軍事部門「カッサム旅団」は、ガザ北部でイスラエル軍と「激しい戦闘」を展開したと発表した。
人口が密集しているガザ地区で最大のジャバリヤ難民キャンプは、昨年10月7日のハマスによる攻撃を受け、イスラエルが最初に標的とした場所の一つだった。
同地にいた住民は、ジャバリヤで再び地上作戦を展開するというイスラエル軍の通告を受け、再び荷物をまとめて一家で避難を強いられている。
イスラエル軍はガザ北部の住民に新たな避難命令を出し、マワシ地区の「人道区画」の範囲を広げると発表した。
CNNの取材に応じた住民のアブ・アラア・アサフさんは、「みんなが今朝、どこへ行くのか分からないまま、身の回り品だけ持って家を出た。交通手段はない」と話し、「一晩中爆発音が聞こえた。まるで今日から戦争が始まったようだ」と証言した。
ガザのどこへ行っても安全な場所はないとして、避難を拒む住民もいる。
ジャバリヤのモハンマド・イブラヒムさん(36)は、「私は2人の息子と一緒にジャバリヤにとどまってきた。どこへも行くつもりはない。ガザに安全な場所はない。死はここも向こうも同じだ」と語った。
ジャバリヤに住むパレスチナ人は、衝突が続く中で何度も避難を繰り返してきた。ジャバリヤ難民キャンプは今回の戦争で既に数回、イスラエル軍の標的にされている。イスラエル軍はそのたびにハマスが「再編」を試みていると説明し、ガザ地区のハマス撲滅を目指すイスラエルの目標の現実性に対する疑問を浮上させている。
ガザ中部の別の事案では6日未明、モスクがイスラエル軍に攻撃され、少なくとも25人が死亡した。学校を狙った別の攻撃では4人が死亡した。
住民が避難していたデイルアルバラのモスクは夜間に攻撃され、がれきの中から遺体が掘り起こされる様子をCNNの映像が捉えている。
近くにいたナビル・ナッダさんは、「モスクには避難した人たちが身を寄せていた。戦闘員などはいなかった」と訴え、「避難所もテントも家もない人たちがモスクに身を寄せていた」と語った。
イスラエル軍はモスクと学校に対する攻撃を確認し、ハマスの指令拠点を狙った「精密」攻撃だったと説明している。
ハマスがイスラエルを襲撃して約1200人が死亡し、250人以上を人質に取った昨年10月7日から1年がたった。
イスラエル軍の続くガザ攻撃で4万1000人以上が死亡し、人道危機が引き起こされている。