シリア反体制派、8年ぶりにアレッポ入り 突如攻勢に出て3日で
(CNN) シリアの反体制派武装勢力は29日、突如攻勢に出てからわずか3日で北部アレッポに進入した。反体制派がシリア第2の都市アレッポに足を踏み入れるのは、政府軍が同市を奪還した2016年以来となる。
反体制派は今週に入って奇襲を仕掛け、アレッポ郊外の複数の村を制圧。ここ数年おおむね膠着(こうちゃく)状態が続いていた紛争が再燃した。
CNNが位置情報を確認した動画では、反体制派の戦闘員1人が市内西部の人けのない道路を車で走り、撮影を行う姿が映っている。車がアレッポ西部にあるモスク(イスラム教礼拝所)に近づくと、戦闘員が神を称賛する声も聞こえる。
シリア政府軍は「大規模攻撃」に直面していると述べ、「各地の戦線に沿った全ての場所を強化している」と主張。だが複数の住民は、政府軍はアレッポ西部の複数の地区から退却したと証言した。
27日に始まった今回の攻勢は、シリア反体制派と2000年からシリアを統治するアサド政権の間で数年ぶりに発生した大規模衝突となった。
新たに結成された反体制派武装勢力の連合体「軍事作戦コマンド」は、「我々の部隊がアレッポ進入を開始した」としている。
29日の攻撃では、アレッポ大学の学生寮に砲弾が着弾し、シリア国営シリア・アラブ通信(SANA)によると4人が死亡した。一方、反体制派勢力の報道官は、シリア政府系メディアの報道に「根拠のないうそ」と反論している。
シリア内戦は2011年の民主化運動「アラブの春」のさなかに始まり、政権は反政府民主化勢力の蜂起を抑圧した。政府軍と戦うために反政府武装勢力「自由シリア軍」が結成され、シリアは全面内戦に突入した。
2020年の停戦合意以降、紛争はおおむね休止状態にあり、反体制派勢力とアサド政権の間で低レベルの衝突が起きていた。
国連によると、10年以上続く内戦で民間人30万人あまりが死亡。各地の数百万人が住む場所を追われた。