元恋人殺害した男に終身刑、女性への暴力に絡む注目の裁判で イタリア
ローマ(CNN) イタリアの裁判所は3日、元恋人を刺殺したとして23歳の男に終身刑を言い渡した。凶悪なフェミサイド(女性であることを理由にした殺人)の犯行とされた本件を受けて、イタリア国内では女性に対する暴力への注目が高まった。
フィリッポ・トゥレッタ被告は昨年11月に22歳の元恋人を殺害したことを認めた。元恋人は1週間後に大学を卒業する予定だった。被告は3日、ベネチアの裁判所で殺人、武器の不法所持、誘拐、遺体の隠匿の罪で有罪評決を受けた。また被害者遺族の金銭上の損失と、彼らの裁判費用の支払いも命じられた。
イタリアの司法制度では通常、裁判官や裁判員による評決と量刑の言い渡しは同時に行われる。
供述によると被告は被害者を殺害後にごみ袋に詰め、渓谷に遺棄して逃走した。被害者が行方不明となってから10日後、ドイツで逮捕された。
法廷に現れたトゥレッタ被告は無表情で目の前の机を見つめ、弁護士に挟まれる形で評決が読み上げられるのを聞いていた。
出廷した被害者の父親は、被告の方を見なかった。被害者の母親は2022年に病気で亡くなっていた。
本人の供述によると犯行時の被告は刃物やテープ、シャベル、黒いごみ袋、叫び声を上げさせないための濡れた靴下などを用意。つきまとうのをやめるという虚偽の約束で被害者を欺き、車の中へ誘い込んで殺害した。
事件は女性への暴力に対する議論を巻き起こした。政府の統計によればイタリアでは3日に1人の割合で女性が恋人や夫、元パートナーによって殺害されている。今回の事件発生からの1年間では106人以上が殺害され、このうち最年少の13歳の少女は先月上旬、15歳のボーイフレンドによってバルコニーから突き落とされたとみられる。
トゥレッタ被告に殺害された被害者の女性は、23年の105人目の犠牲者だった。