豪州で反ユダヤの襲撃相次ぐ、シドニーで放火や落書き
ブリスベン(CNN) オーストラリアで最近、ユダヤ系の施設などを狙った襲撃が相次いでいる。シドニー東郊ウラーラのユダヤ人地区では10日から11日にかけて盗難車が放火され、壁に反ユダヤ的な内容が落書きされた。
シドニーを州都とするニューサウスウェールズ州のミンズ首相は11日、州警察本部長やユダヤ人指導者らとの共同会見で、「住民の心に恐怖を植え付けようとする意図的な襲撃だ」と非難。イスラエルのマイモン駐豪大使と連絡を取り、事態を極めて深刻に受け止めていると伝えたことを明らかにした。
マイモン氏はX(旧ツイッター)への投稿で襲撃を非難し、「反ユダヤ主義の高まりをただちに止める必要がある」と主張した。
アルバニージー豪首相は公共放送ABCラジオとのインタビューで「国民は平和的な共存を望み、この忌まわしい犯罪行為を拒否する」と述べた。
さらにその後、ユダヤ文化やユダヤ系市民への理解を深めるため、850万豪ドル(約8億円)の予算でシドニーのユダヤ博物館を改修すると表明した。
これに先立ち、メルボルンでは6日にシナゴーグ(ユダヤ教の礼拝所)が放火され、シドニー市内でも反ユダヤ主義の破壊行為が続発していた。
破壊されたシナゴーグ=メルボルン/Amir Maimon/X (formerly Twitter)
当局は専門の対策チームを設け、ユダヤ系学校やシナゴーグのパトロールを強化している。
昨年10月にパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘が始まってから、オーストラリアでは反ユダヤ的行為が何千件も報告されてきた。
ウラーラでは先月も襲撃があり、車10台が損壊したほか、近くの建物に落書きの被害があった。19歳と20歳の男が訴追されている。