豪当局が警告、ラオスの「タイガーウォッカ」飲まないで 観光客中毒死の疑い受け
(CNN) 東南アジアのラオスで外国人旅行客6人がメタノール中毒の疑いで死亡した事案を受け、オーストラリア当局は29日、旅行者にラオスの蒸留酒メーカーが製造した蒸留酒を飲まないよう警告した。
29日に公表された更新版の渡航勧告では、ラオスの「タイガー」ブランドのウォッカやウイスキーを巡る「深刻な安全上の懸念」に言及した。ラオス北部にあるバックパッカーに人気の観光地バンビエンでは今月、中毒症状が相次いでいた。
勧告では「ラオス当局はタイガーウォッカやタイガーウィスキーの販売と消費を禁じる指示を出した。こうした製品が健康リスクになる懸念からだ」と言及。「特に、カクテルを含む蒸留酒ベースの飲み物に潜むリスクには注意してほしい」と呼び掛けた。
ラオス国営の英語メディアには、ラオスがタイガーブランドの蒸留酒を禁じたとの記事は掲載されていない。相次ぐ中毒症状を受け、異物混入アルコールを飲む危険性について警告が発せられたが、これはラオス当局からではなく、外国政府から自国民に向けられたものだった。
ラオスはメディア統制の厳しい実態不透明な共産主義国家で、観光客の死について1週間あまり沈黙を続けた後、初めて声明を出した。2週間以上が経過したが、観光客の死や体調を崩した経緯に関する詳しい情報は乏しく、遺族や仲間の旅行者の間では苛(いら)立ちが募っている。
バンビエンではオーストラリア人2人、デンマーク人2人、米国人1人、英国人1人がアルコールを摂取後、メタノール中毒が疑われる症状で死亡した。
ラオス・タイムズによると、今週前半には、バックパッカー向けの宿泊施設に勤務するベトナム人従業員8人が地元当局に拘束された。この施設には犠牲者のうち少なくとも5人が宿泊していた。
ラオスのタイガーウォッカとタイガーウィスキーは地元で生産される蒸留酒のブランド。安価で購入でき、ミックスドリンクやカクテルに用いられることが多い。公式ウェブサイトはない様子で、ウォッカの製品ラベルには「ラオスで蒸留、ブレンド、瓶詰めされた」と記載されている。