ジャンマリ・ルペン氏が死去、96歳 仏極右政党国民戦線の創設者
パリ(CNN) フランスの政党、国民連合(RN)を率いるマリーヌ・ルペン氏の父で、第2次大戦後の同国における極右運動を代表する人物でもあったジャンマリ・ルペン氏が7日、死去した。96歳だった。仏メディアのBFMTVが伝えた。
ルペン氏は1956年に27歳で国会議員に選出され、72年にRNの前身の国民戦線(FN)を創設した。2007年には史上最高齢で5度目の大統領選挙に挑んだが落選。90歳の誕生日を欧州議会議員として迎え、19年まで同職に就いた。
RNのジョルダン・バルデラ党首は7日、X(旧ツイッター)への投稿でルペン氏を追悼。「常にフランスに奉仕し、国のアイデンティティーと主権を守った」と称賛した。
戦後のフランス極右運動の基礎を築いたジャンマリ・ルペン氏=1981年4月/Rapho via Getty Images
一方で極左政党、不服従のフランス(LFI)を率いるジャンリュック・メランション氏は死者の尊厳への敬意に言及しつつも政治家としてのルペン氏の行動が容認し得ないものであることに変わりはないと指摘。ルペン氏という人物との戦いは終わったが、「彼が拡散した憎悪や人種差別、イスラモフォビア(イスラム嫌悪)、反ユダヤ主義との戦いは続いている」とXで主張した。
政治家としてのキャリアの中で、ルペン氏の人種差別的な言動は再三メディアに取り沙汰されてきた。本人は人種間の平等に否定的な見解を示し、エボラウイルスを欧州の「移民問題」の解決策と形容。ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)についても否定論を繰り返していた。
FN党首の座を引き継いだマリーヌ氏とはその後関係がこじれ、15年には自身が創設した党から除名されている。ナチスによるガス室でのユダヤ人虐殺を歴史上の些細(ささい)なこととする見方を改めて公言したのが除名の理由だった。