廃坑から78人の遺体回収、政府の強硬対応に批判強まる 南ア
(CNN) 南アフリカ北西州にある金鉱山の廃坑に取り残されていた違法な採掘者の救出で、廃坑から回収された遺体は15日までに少なくとも78体となった。政府は違法採掘を取り締まる目的で地下にいる労働者への水や食料の供給を断っており、こうした強硬措置に批判が強まっている。
救出作業は裁判所の命令で13日に始まった。当局は15日、少なくとも166人が救出されたことを明らかにした。100人超が飢えと脱水で死亡したとされている。
問題の廃坑は同国最大の都市ヨハネスブルクの南西約156キロメートルに位置する。南ア労働組合連盟(SAFTU)は政府の措置により死者が出ている事態は「進行形の大虐殺」だと批判した。
SAFTUは声明で「取り残されていた人の多くはモザンビークなどアフリカ南部の国々から来た、追い詰められた状況にある非正規の労働者」だと指摘し、そうした労働者が「近年で最も恐ろしい国家による故意の過失で見殺しにされた」と糾弾した。
政府の対応については、昨年アフリカ民族会議(ANC)と連立政権を組んだ民主同盟(DA)からも非難の声が上がっていた。
採掘者のひとりが先週撮影したという動画には、ビニールに包まれた複数の遺体やシャツを着ていない、骨が浮き出るほどやせ細った男性が映っている。
警察は昨年11月、違法な鉱山労働者を強制退去させて廃坑を閉鎖しようと食料や必需品の供給を遮断する措置に踏み切った。その前にSAFTUは強硬措置は「悲劇に終わる」可能性があると警告していた。
同国では違法採掘による損失が毎年10億ドル(約1565億円)超にのぼっており、政府は取り締まりを強化している。