マフィアがイタリア南部で山火事を「武器化」、そのやり口とは
マフィアの影響と戦う農家のネットワーク「GOEL」の創設者ビンチェンツォ・リナレッロ氏は、23年にイタリアで発生した約3700件の火災のうち半数以上が、シチリア島やプーリア州など、南部の四つの地域で発生したと述べた。これらはマフィアの歴史的ルーツがあるとされている土地だ。
マフィアが火災を利用する目的は主に二つある。それは権力と利益だ。
火は金だ、とジャーナリストのセルジオ・ナザロ氏はCNNに語った。火災は解決しなければならない緊急事態を作り出し、介入する企業に利益をもたらす。企業との間には消防、撤去活動、再建などの契約が結ばれているからだ。マフィアは「火をつける人員から、焼けた土地に建物を建てるための利権に至るまで」重層的な犯罪組織を構成しているという。
また、ピアソン氏によれば、マフィアがクリーンエネルギーへの移行資金を利用しようともくろみ、太陽光や風力インフラの取引を仲介するため火災を起こして土地を調達している可能性を示す証拠もあるという。
報告書に掲載されている農場主は、自身の土地が焼けた後、太陽光パネル会社が近づいてきたと証言している。
マフィアは、より破壊的な火災を引き起こしている気候変動を武器化していると同時に、気候変動に対処するための資金を搾取しようともしているとみられる。
専門家は、火災を利用するというやり方は金銭的利益を得るためであると同時に、マフィアの暴力文化にも適合すると指摘する。ピアソン氏は、これについて「脅迫と恐怖」という武器であり、「土地は依然として彼らのものであると宣言する方法」だと述べた。
シチリア島のパレルモ検察は、マフィアの火災への関与を示す「具体的な証拠は現時点ではない」としながらも、森林火災が土地投機につながることが多いという証拠はあるとCNNに語った。