マフィアがイタリア南部で山火事を「武器化」、そのやり口とは

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エトナ山の周辺で広がる山火事=2023年7月、イタリア・シチリア島/Salvatore Allegra/Anadolu Agency/Getty Images

エトナ山の周辺で広がる山火事=2023年7月、イタリア・シチリア島/Salvatore Allegra/Anadolu Agency/Getty Images

(CNN) 焼けるような気温とサハラ砂漠から吹き込む高温の乾燥した南東風「シロッコ」によって、イタリア南部は毎年何千件もの山火事に見舞われる。気候危機がこれらの火災を助長しているのだが、その一方で、マフィアが火をつけている可能性があることが新たな研究で明らかになった。

熱く乾燥した風はイタリアの猛烈な山火事の主要因にはなっているが、実際に火をつけるのは人間だ。当局によれば、半分以上は土地の立ち退きから個人的な報復に至るまで、さまざまな理由で意図的に引き起こされているという。

マフィアの支配が強い地域で火災が集中して発生するにつれ、マフィアに対する疑惑は強まっている。

カリフォルニア大学バークレー校の研究者ローレン・ピアソン氏は、マフィアは支配権と金銭的利益を得るためにイタリア南部で火災を「武器化」していると述べた。同氏はマフィアが活動するシチリア島で数カ月をかけて検察や警察、環境保護団体、地元住民らと話をした。

マフィアは、影で地域社会を高度に支配している。その活動方法により、マフィアと火災を結び付ける確実なデータを特定するのは恐ろしいほど困難だという。しかしピアソン氏の最近の研究によると、組織犯罪と山火事との明確な関係を示す証拠がある。

イタリア南部では常に山火事が発生しているが、最近の夏の山火事は壊滅的な被害をもたらしている。シチリア島では2021年、気温が約48度まで上昇し、8000件以上の火災に見舞われた。

火災の影響があまりにも深刻だったため、地域の反マフィア委員会はその背後にある潜在的な犯罪動機について調査を行った。

報告書は、火災にうってつけの気象条件と、容易に近づくことのできない森林に覆われた地形が、急速で制御不能な火災を助長することが明らかになったとしている。一方で犯罪行為は「最も危険な要素を構成している」という。

環境保護の非営利団体で働くローラ・ビフィ氏は、これらの犯罪行為はマフィアのビジネスだけに限らないと語る。専門家はイタリア南部には「火災に関連する産業」があり、非常に多くの人々が関わっていると指摘する。

つまり、消防業務契約の延長を望む季節労働者や、放牧のために森林を伐採したい農場経営者、抗議活動家、復讐心を抱く人々によって火災が引き起こされるというのだ。

ただし、マフィアに直接的な責任はない場合でも、マフィアが支配する地域でマフィアの許可なく意図的に火災を起こす人がいるとは想像できないとビフィ氏は語った。

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