自殺同然の行動に80年代の戦術、北朝鮮兵がウクライナ戦争で採用する戦法
メモと偽造した身分証を発見
ウクライナは今月、北朝鮮兵2人の身柄を拘束。ロシアへの北朝鮮の強力な軍事支援を示す証拠だとして、朝鮮語を話す治療中の負傷兵2人の動画を公開した。
ウクライナ特殊作戦軍は今回、兵士の一人が拘束される瞬間を捉えた映像をCNNに共有した。動画には、見るからに負傷した北朝鮮兵が痛みに顔をゆがめながらウクライナ兵の手で運ばれ、有刺鉄線や地雷地帯を抜けて安全な場所へ移送される様子が映っている。
兵士を拘束する際、ロシアの砲撃は一段と激化したとウクライナの当局者は明かす。北朝鮮兵が生け捕りにされるのを阻止する狙いだった。
ウクライナ兵が遺体から唾液(だえき)や髪の房といったDNAサンプルを採取したところ、東アジア出身であることが判明。北朝鮮の関与を示すさらなる証拠となった。
手榴弾を爆発させる様子が動画に映っている北朝鮮兵は、29歳という年齢と氏名を記した偽のロシアの身分証を携行していた。これによると、男性はモンゴルに近いロシア国境地帯のトゥバ共和国出身で、昨年10月にロシア軍に加わったとされる。
北朝鮮兵の一人から見つかった手記には、部下の忠誠心に欠ける行動が記録されていた/Rebecca Wright/CNN
CNNはこれ以外にも、ウクライナ兵が別の北朝鮮兵の遺体から発見したメモや紙片を複数確認した。
1枚の紙には、金総書記への忠誠や戦場での勝利を誓う言葉が散りばめられている。戦死した場合に備え、残された家族を守る目的で忠誠心を強調したのか、本心を映した言葉なのかは不明だ。
遺体から回収された別のメモは、北朝鮮の戦闘能力を称賛し、敵国のウクライナをあざける内容だった。
「忠誠心に欠ける」行動を記録
これらの紙を調査したウクライナの当局者によれば、北朝鮮の部隊はロシアの戦争への関与を、実戦経験を積むチャンスだと捉えている。自国により近い地域で将来の紛争が発生した場合に、金総書記を助けるためだ。
北朝鮮は世界有数の軍事化された社会(軍人の数は推定120万人に上り、17歳から強制的に兵役に就く)だが、1953年に休戦した朝鮮戦争以降、北朝鮮兵が戦場にさらされる機会は極めて限られている。
将校によって書かれたとみられる別の文書には、部下の北朝鮮兵の忠誠心に欠ける行動が記録されていた。これは全体主義的な国家ではよくある慣行で、市民は互いに密告し合うことが奨励される。
メモの1枚には、兵士の1人が「物資を盗むという想像を絶する恥ずべき行為を働いた」と記され、もう1枚のメモには、別の兵士が「最高司令官の尊厳を守らず、自己の利益を最優先した」ことが記されていた。
北朝鮮兵から見つかった無線コード/Rebecca Wright/CNN
別の紙には北朝鮮軍の無線コードが記されていたが、そこにはドローン攻撃に対抗する新戦術についても合わせて記載があった。アムールによれば、北朝鮮はドローン攻撃で甚大な損失を被っている。
「ドローンの破壊方法」と題された手書きのメモでは、兵士をおとりに使うことが提案されている。「ドローンを見つけた場合、約10~12メートルの距離を保ち、3人のうち1人は無条件におとり役になり、別の2人が狙いを定めて撃墜すべきだ」
「バンディット」のコールサインを持つ大隊長はCNNに対し、北朝鮮兵は約100メートル離れた距離からドローンを撃墜する際に優れた射撃の腕前を示しており、北朝鮮国内で高水準の訓練を受けてきたことがうかがえると説明した。
アムールは敵の冷酷さに言及。「彼らは捕虜を取らない。我々が発見した我が軍の要員は全員、後頭部を銃で撃たれていた」と証言した。