バンス氏、演説で欧州同盟国を痛烈批判 ロシアと中国の脅威は重視せず
ミュンヘン(CNN) 米国のバンス副大統領は14日、独ミュンヘンで開催された安全保障会議で演説し、欧州の首脳らを厳しく批判した。その中で、欧州各国の安全保障に対する最大の脅威は中国やロシアではなく、それぞれの国の「内側から」現れると警告した。
副大統領として臨んだ最初の演説でバンス氏は、欧州首脳らが自由な言論を抑圧していると非難。移民に対する抑制を失う一方、強硬な右派政党とは政権内での連携を拒んでいると糾弾した。
また欧州に及ぼすロシアと中国の脅威についてはこれを重要視しない姿勢を強調。「私が欧州に関して最も懸念する脅威はロシアではなく、中国でもない。その他のいかなる外的主体でもない。私が懸念するのは内側からの脅威だ。欧州がその最も根本的な部類の価値観から後退してしまうことだ」と語った。
ウクライナでの戦争終結に向けたトランプ政権の計画について説明されると予想していた聴衆は、無表情のまま演説を聴いていた。
バンス氏のこの日の演説から約1週間後には、ドイツで総選挙が行われる。移民が主要な争点となった選挙シーズンを経て、同国では右傾化が進むだろうというのが大方の予想だ。
トランプ政権並びに起業家のイーロン・マスク氏から好感を得ている極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は、今月23日の総選挙を前に約21%の支持率を記録。国内第2の政治勢力になるとみられている。第2次世界大戦以降、極右政党がここまでの地位に就くのは初めて。
バンス氏は演説で、他の主要政党がAfDの排除に動いているとの見方を示唆。「民主主義の基礎は、人々の声を重視するという神聖な原則にある。そこに『防火壁』を設置してはならない」と批判した。
演説後バンス氏は、AfDのワイデル共同党首と30分ほど会談し、ウクライナでの戦争やドイツの内政について話し合った。ワイデル氏の事務所の広報担当者が明らかにした。
バンス氏はまたドイツのシュタインマイヤー大統領、最大野党会派「キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)」のメルツ党首とも会談した。後者についてCNNは今月、次期独首相の最有力候補と目される人物と報じている。