メキシコ大統領、国家主権守ると約束 米国による国内での麻薬カルテル取り締まり受け
(CNN) メキシコのシェインバウム大統領は、国家主権を強化する目的で憲法改正を提案する意向を表明した。これに先立ち米国は、メキシコの複数の麻薬カルテルを外国のテロ組織に認定。米国によるメキシコ領内での直接攻撃に向けた基盤作りともなり得る動きに出ていた。
シェインバウム氏は20日、定例の記者会見で「メキシコ国民はいかなる状況下でも他国の干渉を受け入れない。国家の完全性と独立、主権にとって有害な国外からのあらゆる介入、活動を容認することはない」と強調した。
その上で当該の措置はメキシコの「土地と河川、海洋、領空」を含む領土全体に適用されると付け加えた。
CNNは最近、米国が「MQ―9リーパー」ドローン(無人機)を秘密裏にメキシコ上空へ飛ばし、麻薬カルテルの行動を偵察していると報じた。これはトランプ氏が実施する劇的な方針転換の一環で、安全保障関連の資源を南部国境に振り向けているとみられる。
米国の偵察機もまた国境付近を飛行していることが明らかになったのを受け、シェインバウム氏や他のメキシコ当局高官らはかねて主権を巡る懸念を訴えていた。
シェインバウム氏が提案する改正案には、捜査や訴追に対するあらゆる干渉の禁止などが含まれる。介入が認められるのは、適用法の枠組みの中でメキシコ国家が特定の承認や協力を行う場合に限るとしている。
同氏はまた、メキシコの特定の犯罪集団をテロ組織と認定した米国の判断について、メキシコ政府と協議の上で下されたものではないと説明。「この認定を一つの契機として、米国が我が国の主権を侵害することがあってはならない」と述べた。
その上で、麻薬カルテルをテロ組織として扱うことに異論はないとしつつ、メキシコの立場は協力や連携であって従属ではないとも強調。干渉や侵入を認めることはないとした。
これとは別にシェインバウム氏は、国内外で武器の違法な製造、供給、輸送、収容に関与する人物らを標的にした改革も提案している。米国製の銃器は長年にわたり、中南米及びカリブ海地域の犯罪組織にとって重要な武器の入手元となってきた。
メキシコの過去の主張によれば、犯罪現場から押収した武器の7割から9割は米国から持ち込まれたものだという。