「極めて高性能」な中国軍艦が実弾演習、NZと豪州に動揺走る
香港(CNN) ニュージーランドは24日、「極めて高性能」な兵器を備えた中国軍艦による実弾演習が付近で実施されたことに対し、改めて懸念を表明した。先週実施された実弾演習は前例のない示威行為であり、識者の間では、グローバルな展開力を備えた外洋海軍を建設しようとする中国政府の計画の一環との見方が出ている。
中国海軍の艦隊は21、22両日、オーストラリアとニュージーランドの間のタスマン海で2回の実弾演習を実施。旅客機が飛行中に針路を変更する事態となり、両国の当局者を動揺させた。
ニュージーランドのコリンズ国防相は、当該海域でのこうした演習は前例がないと指摘する。
コリンズ氏は24日、公共放送ラジオ・ニュージーランドに対し、「これほどの能力を持つ任務部隊(タスクフォース)や任務群(タスクグループ)がこの種の活動を行うのは見たことがない。その意味では間違いなく変化だ」と説明。「中国が保有する兵器は非常に性能が高い。1隻は垂直発射セル112基を備え、対艦弾道ミサイルの射程は約1000キロに上ると報告されている」とも述べた。
オーストラリア国防軍によると、人民解放軍(PLA)海軍の艦艇はフリゲート艦と巡洋艦、補給艦で構成され、2月中旬からオーストラリア沿岸を航行していた。
シンガポールのS・ラジャラトナム国際研究院の研究員、コリン・コー氏は中国の055型駆逐艦「遵義」について、就役中のPLA海軍の水上戦闘艦の中でずば抜けて性能が高いと指摘する。遵義を巡っては、弾道ミサイルに加え、極超音速ミサイルも発射可能との情報がある。
コー氏は「055型駆逐艦がタスマン海のここまで南に、しかも本格的な戦闘艦隊の一員として展開するのは本当に異例で、前例がない」と言い添え、「近年、PLAは近海から遠海に軸足を移しており、真の外洋海軍になるための訓練を強化している」と指摘した。
中国の国営メディアは、西側諸国は自国近海でのこうした軍事演習に慣れるべきだとの見方を示唆している。
中国の軍事専門家、宋忠平氏は環球時報の取材に、PLA海軍は中国沿岸だけでなく公海上でも演習を行うようになるとの見通しを示し、演習の頻度が増えるにつれ、一部の国はこうした流れに対応する必要が出てくるとコメントした。
中国軍に関する国防総省の最新の年次報告書によると、習近平(シーチンピン)国家主席の下、中国は世界最大の海軍を建設。370隻を超える艦艇と潜水艦で構成される戦力を誇る。展開する範囲も拡大しており、中国近海で活動するのみならず、遠く離れた外洋にも戦力を投射している。