米国入り拒まれた移民の一部、船で南米へ引き返す
(CNN) 米国への到達を断念し、母国の中南米諸国へ引き返す移民が増加している。移民らはパナマから海の経路を使用することから、新たなリスクを生む状況になっていると当局が指摘する。
従来は北米と南米を結ぶ山岳の熱帯雨林地帯「ダリエン地峡」を通過していた移民たちだが、現在はカリブ海に面したパナマの海岸で小型船に乗り、コロンビアへ向けて航行している。
米国のトランプ政権が厳格な政策を施行し、国内の移民の強制送還や入国制限を進める中、こうした船による移動の件数は増加している。
しかし1日で約185キロ以上を航行するコロンビアまでの移動には危険も伴う。先週は移民を乗せた船がパナマ沖で沈み、ベネズエラ出身の8歳の女の子が死亡した。同国の国境警備サービスが明らかにした。
この船はパナマ沿岸を航行し、コロンビア国境近くまで向かおうとしていた3隻の一つ。他の2隻は海上の悪条件を理由に航行を中止していたが、当局によるとこの船は警告を受けても航行を続け、最終的に沈んだという。
船から救助された移民の大半は、ベネズエラとコロンビアの出身だった。
パナマ外務省は事故に遺憾の意を示しつつ、国際協力と人権尊重に注力する姿勢を強調した。
移民船の航行は、パナマ北東部の先住民地域で起きている。先住民の代表者はCNNの取材に答え、過去1週間で同地域を通過してコロンビアへ向かう移民が急増したと明かした。23日だけで、少なくとも110人の移民が地域の港からコロンビアへ航行しようとしていたという。
米国から母国へ引き返している移民の総数は不明。CNNはパナマ政府と国連の難民関連機関にコメントを求めた。
地域の先住民は、大量にやってくる移民たちに適切な処遇を施す資源がないとの懸念を示す。23日には声明を出し、パナマと米国の両政府ならびに国際組織に対して、当該地域への移民の大規模な流入に歯止めをかけるよう呼び掛けた。
パナマのアブレゴ安全保障相は25日、移民船の航行については先住民地域の当局者も「十分把握している」と述べた。船が出る区域に人は住んでおらず、国境警備サービスが出発点を設置しているという。