医療受けさせず女児死亡、両親含む宗教団体メンバーに最長禁錮14年 豪
豪ブリスベン(CNN) オーストラリア東部クイーンズランド州で、2022年に病死した8歳の女児に必要な医療を受けさせていなかったとして過失致死の有罪判決を受けた両親に対し、裁判所は26日、禁錮14年の刑を言い渡した。
女児は19年に糖尿病の診断を受け、22年1月にインスリン欠乏の合併症により、同州ブリスベン西郊の自宅で死亡した。53歳の父親はこの5日前、女児にはもう糖尿病の治療は必要ないと宣言していた。
49歳の母親は父親に対し、女児へのインシュリン治療を止めるよう説得していた。両親が入信する宗教団体のメンバー12人も同様に説得を行い、過失致死罪で有罪となった。
63歳の教団リーダーには禁錮13年、他の教団メンバー11人にもそれぞれ禁錮刑が言い渡された。メンバーは女児が死亡する間、歌や祈りを捧げていた。
父親が警察の取り調べで明らかにしたところによると、母親は結婚当初特に宗教熱心ではなかったが、04年に教団リーダー及びその妻と出会ってから考えが変わり、医学的な治療を拒否するようになったという。この時の父親は断固として入信せず、8人の子どもたちにもワクチンを接種させると主張していた。
19年には、6歳だった当該の女児が糖尿病の治療を受けられないために容体が悪化。教団は神が女児を治すと主張したが、父親はこれを聞き入れず病院へ連れて行き、1カ月入院させた。
この件では「女児の生存に必要な措置の提供を怠った」として父親には執行猶予付きの有罪判決が出た。母親は無罪を主張したが、1年6カ月の禁錮刑を言い渡された。
母親が刑務所にいる間、17年続いた教団に対する父親の抵抗は崩壊し、21年に入信。22年1月の会合で、神が娘の糖尿病を治したと宣言すると、その夜を最後に女児のインスリン治療をやめさせた。
母親が仮釈放されたのは、女児が亡くなる3週間前だった。仮釈放時に母親は保護観察官に対し、もし選択できるのであればまた娘の治療をやめさせると話していた。一方で誰かが女児を助けようとするなら邪魔はしないとも語っていたが、実際その場でそうした行動に出る人物はいなかった。