エルサルバドル大統領、米国から強制移送されたベネズエラ人の「囚人交換」持ちかけ
(CNN) 中米エルサルバドルのナジブ・ブケレ大統領がベネズエラに対して囚人交換を提案した。米国からエルサルバドルに強制移送された数百人のベネズエラ人を、「政治犯」と引き換えにベネズエラへ送還すると持ちかけている。
ブケレ大統領は、エルサルバドルの巨大刑務所に収容されているベネズエラ人252人について、ベネズエラで収監されている「数千人の政治犯のうち同数(252人)と交換する」とX(旧ツイッター)に投稿した。この中には野党指導者の親族も含まれるとしている。
ブケレ氏はベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領に向けて、「我々が収容しているのは殺人や性的暴行などの犯罪者が多く、何度も逮捕されて国外追放された者さえいる。だがあなた方の政治犯は何の罪も犯していない」「彼らが投獄された唯一の理由は、彼らがあなたとあなたの不正選挙に反対したからだ」と書き込んだ。
米国とエルサルバドルは、米国からエルサルバドルに強制移送されて巨大刑務所に収容された移民について、大部分がベネズエラのギャングのメンバーで、エルサルバドルのギャングのメンバーもいると主張している。しかしそうした犯罪集団との関係を裏付ける証拠はほとんど示していない。
これに対してベネズエラ側は、主にベネズエラ出身の移民の強制移送を「誘拐」と形容。こうした移民は犯罪者ではないとして、ベネズエラへ帰還させるよう求めていた。
エルサルバドルのブケレ大統領は、ベネズエラで投獄されている「政治犯」の一部氏名も公表した。この中には、昨年の大統領選挙に野党候補として出馬したエドムンド・ゴンサレス氏の義理の息子も含まれる。

エルサルバドルの警官が米国から移送されたベネズエラ人を同国のテロリスト監禁センターで護送する様子。写真はエルサルバドルの大統領広報室から3月16日に提供されたもの/El Salvador’s Presidency Press Office/Handout/Reuters
ゴンサレス氏は、大統領選では自身がマドゥロ氏を破って勝利したと主張していたが、その後国外へ亡命した。今年1月にはマドゥロ氏の大統領就任を数日後に控え、義理の息子がベネズエラの首都で拘束されたと訴えていた。
ブケレ大統領は、ベネズエラのアルゼンチン大使館に1年以上も身を寄せている政治指導者4人の交換も持ちかけている。4人はベネズエラの野党指導者マリア・コリナ・マチャド氏に協力したとしてテロ行為や反逆の罪に問われている。
さらに、著名ジャーナリストや弁護士、米国など他国の国籍を持つ約50人も交換の対象とした。
エルサルバドルは、米国のトランプ政権がギャングや犯罪組織のメンバーだと主張する移民数百人を受け入れる意向を示している。