会食でのウイルス拡散、検証実験でそのスピードが明らかに
(CNN) レストランなどで複数で飲食した場合、細菌やウイルスがどのように拡散するかを示した実験動画がこのほど公開され話題を集めている。
動画はNHKが専門家と共同で行った実験の様子を映したもの。10人の参加者が、レストランやクルーズ船の中を想定した空間でビュッフェ形式の食事をとっている。
実験では10人のうち1人を「感染者」に設定し、あらかじめウイルスに見立てた蛍光塗料を手のひらに塗った。「感染者」を含む参加者は各自ウイルスを意識することなく、30分間自由にビュッフェを楽しんだ。
動画の終盤、参加者に特殊なライトが当てられると、上記の蛍光塗料が青白く浮かび上がった。1人の手のひらにしか塗られていなかった塗料は、料理や皿、料理を取り分けるトングなどの表面に広く拡散。その場で「感染」が拡大したことが分かった。
参加者の中には、顔に塗料が付着している人もいた。
こうした実験は目新しいものではないが、香港大学で臨床学教授を務めるジョン・ニコルズ氏は、ウイルスがいかに短時間で効率よく拡散するかがよくわかると指摘。感染拡大を防ぐため、手洗いが重要である点にも改めて気づかされると述べた。
同氏は実験で設定された状況について、接触のみを過度に強調した「人為的」なものだとしながらも、手洗いが大事であることを示すにはよい取り組みだとの認識を示した。
そのうえで、感染者が5秒間手を洗った場合と10秒間手を洗った場合で同様の実験を行えば、科学的により有効な知見が得られただろうと語った。