欧州を覆う新型コロナ第2波、再び死者急増の恐れも
ロンドン(CNN) 新型コロナウイルス感染の「第2波」に見舞われている欧州で、新規の症例が過去最高に達している。4月のピーク時に比べればまだ死者は少ないものの、この冬には事態が深刻化する恐れがあると専門家は予想する。
欧州各地の病院は、4月のピーク時に比べれば新型コロナウイルスに対応する態勢が整っている。最近の感染者は若者が中心で、感染したとしても死亡する確率は低い。
しかし気温が下がり、インフルエンザの季節が近づく中、感染は高齢者層にも広がりつつあり、市民の間ではコロナ疲れの兆候も見え始めた。
英サウサンプトン大学のマイケル・ヘッド氏はCNNの取材に対し、死者数が第1波のような規模に達することはなさそうだとしながらも、「症例数は大幅に拡大し、入院数は大幅に増え、医療サービスには多大な負荷がかかる」と述べ、「大勢の死者が出るだろう」と予想した。
欧州地域のコロナ感染状況を示すグラフ。左は日次の症例数、右は日次の死者数の7日間の移動平均。データはジョンズ・ホプキンス大学システム科学工学センターから。/Byron Manley and Henrik Pettersson, CNN
米ジョンズ・ホプキンス大学の統計をもとにしたCNNの分析によると、欧州全土で報告された新型コロナウイルスの症例数は22日、7日間の平均で過去最高の5万2418例に達した。しかし新たに報告された死者数は556人にとどまり、7日間の平均で1日あたり4134人(症例数は3万1852例)に達していた4月10日に比べると大幅に少ない。
北米の症例数は22日現在、7日間の平均で4万4547例、死者数は722人となっている。北米の人口は3億6600万人、欧州は7億5000万人。
病院も診断や治療の態勢が整い、欧州の一部の国では集中治療室(ICU)に入院した患者の死亡率が、この春の約50%から、およそ20%にまで低下したとヘッド氏は推測する。
しかしブルガリア、クロアチア、マルタ、ルーマニア、スペインでは、死者の数が着実に増え続けている。