シリコンバレー銀を破綻に追い込んだ現代の取り付け騒ぎ、ツイッターがパニックあおる
ニューヨーク(CNN) 米銀行シリコンバレーバンク(SVB)を経営破綻(はたん)に追い込んだ預金者の取り付け騒ぎ。この経緯は昔と何も変わっていない。しかし今回はまさに同銀行が主な取引先とする業界を反映して、事態は大部分がオンラインで展開された。
SVBが規制当局に提出した書類によると、預金者は先週、1日で420億ドル(約5兆6000億円)をSVBから引き出し、これで同銀は10億ドルの現金不足に陥った。オンラインバンキングがこの驚異的な額の引き出しを加速させ、SNSでパニックに火が付いたことも一因となった。その発端は非公開のチャットグループだったと伝えられている。
米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、SVBが破綻する直前、複数の著名ベンチャー投資家が、主にツイッターを使い、一部は全て大文字の投稿を通じて事態に警鐘を鳴らした。一部の投資家はスタートアップ企業に対し、現金の預け先を再考するよう勧告。続いて創業者や経営者がSVBの憂慮すべき状況に関する投稿を、スラックのプライベートチャンネルで共有した。
一方、スタートアップ企業の経営者らは、競ってオンラインで資金を引き出した。あまりにアクセスが集中したため、オンラインシステムがダウンしたようだとの証言もある。この事態を後に米下院金融サービス委員会のパトリック・マクヘンリー委員長は、「ツイッターにあおられた初の銀行破綻」と表現した。
「現代のようなコミュニケーション手段が登場するずっと前から、こうしたうわさは瞬時に広まる傾向があった。それが起きる発端は、街を歩いていて銀行前に立つ人たちを見かけることだった」。イェール大学経営大学院のアンドルー・メトリック教授はそう解説する。「今の私たちにそれはない。だがツイッターがある」
取り付け騒ぎの様相は、大勢の預金者が銀行に詰めかけていた昔とは様変わりした(もっともSVBのビルの前には行列ができていたが)。今ではオンラインやモバイル端末経由で引き出しが可能になった。