シリコンバレー銀を破綻に追い込んだ現代の取り付け騒ぎ、ツイッターがパニックあおる
IT業界に詳しいアナリストのベン・トンプソン氏は13日、SVBの取り付け騒ぎの特徴として、(1)預金者が引き出しを実行できる容易さ、(2)SVBが危ないというニュースが拡散するスピード――を挙げ、「これほどの混乱をもたらしたのは、流通コストゼロのうわさと引き出しにあおられた、このスピードだった」と指摘した。
SVBはIT業界の企業が顧客の中心だったことから、特にこうした要因の影響を受けやすかった。しかもベンチャー支援を受ける企業が多く、預金残高は米連邦預金保険公社(FDIC)の補償の上限25万ドルを大幅に上回っていた可能性が大きい。
「FDICが25万ドルを保証してくれても、自分の8けたの額を取り戻すことはできるのか?」。同銀行の経営破綻を受け、あるスタートアップ企業の創業者はCNNにそう疑問をぶつけた。大手IT企業はさらに多額をSVBに預けていた。そのためオンラインで拡散したパニックの影響が一層広がったと思われる。
平静を呼びかけようとする動きもあった。ベンチャーキャピタル(VC)企業アップフロント・ベンチャーズのマーク・サスター氏は先週、「パニックを鎮めるために声を上げよう」とVC業界に呼びかけ、「集団ヒステリー」の発生に警鐘を鳴らした。
同氏は9日、ツイッターへの連続投稿で、「昔ながらの『取り付け騒ぎ』は制度全体を傷つける」「みんながこれを冗談にしている。冗談ではない。事態は深刻だ。どうかそのような扱いをしてほしい」と訴えている。
しかし事態は収まらなかった。翌日にはFDICが介入に乗り出してSVBを管理下に置き、それがツイッターで一層パニックをあおった。
投資家のジェイソン・カラカニス氏は12日、全て大文字の投稿で「今こそ絶対、恐怖に駆られるべき時だ」「それが正しい反応だ」とツイートした。
その数時間後、バイデン政権が介入し、利用者の預金は全額保護すると発表した。