UBSの内部告発の元行員に1億ドル超の報奨金 米政府
ニューヨーク(CNNMoney) スイス金融大手UBSが米国の富裕層の資産隠しを手助けする事業を幅広く展開していたとされる問題で、この事業について内部告発したUBSの元行員に、米政府が1億400万ドル(約80億円)の報奨金を授与することがわかった。元行員の弁護士が11日に明らかにした。報奨金の額としては米国史上最高だという。
内部告発したのはUBS元行員のブラッドリー・バーケンフェルド氏。UBSは7億8000万ドル(約600億円)の罰金支払いと米国の顧客数万人の口座情報提出を条件に、2009年に米政府と和解した。
弁護士によれば、これまでに米国の顧客3万5000人以上が海外に開設した口座を米国に移し、米政府は追徴課税や罰金など総額50億ドル以上を徴収したという。
米内国歳入庁(IRS)はバーケンフェルド氏に報奨金を授与したことを確認し、「内部告発者の情報は、脱税対策において重要な役割を果たす。報奨金は法の順守に力を入れる我々の姿勢を反映したものだ」とコメントした。
バーケンフェルド氏自身もUBSの脱税ビジネスにかかわったとして、09年に禁錮3年4カ月を言い渡されている。現在は釈放されて自宅からの外出禁止を命じられ、大統領の恩赦を求めているという。
同氏は11日にワシントンで記者会見した親族を通じ、「この日は来ないと思っていた」「私はスイスの銀行が何世紀もの間行ってきた不法行為を独力で変えさせた。だがそれを告発する勇気を持った唯一の人物として、大きな代償を払った」との談話を発表した。