「財政の崖」問題で米格下げせず S&Pが見通し
ニューヨーク(CNNMoney) 米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は28日、米国が「財政の崖」を回避できなくても米国債の格付けがさらに下がることはないとの見通しを示した。
S&Pは2011年8月、財政赤字問題を理由に米国債の長期格付けを最高の「トリプルA」から「ダブルAプラス」に1段階引き下げ、見通しを「弱含み」とした。この時「米国の統治と政策決定の安定性、効率性が低下し、予測が難しくなっている」とした評価は、現在も変わらないとしている。
S&Pによれば、財政の崖が回避できなかった場合、13年の米経済成長率はマイナス0.5%となり、失業率は14年までに9%に達すると予想される。一方で与野党が回避策で合意した場合も中期的な財政健全化には不十分とS&Pは指摘する。弱含みの格付け見通しは、「財政規律がさらに緩むリスク」に応じたものだという。
一方、米格付け会社ムーディーズは米国債の格付けを「トリプルA」のまま据え置いているが、議会が長期的な債務削減策を打ち出せなければ格下げするとの構えを示す。欧州系格付け会社フィッチも「トリプルA」としているが、今月初め、財政の崖が回避できず債務上限の引き上げもない場合は格下げする可能性があると表明した。