老舗レコード店も経営破綻 音楽業界の未来は?
ロンドン(CNN) 経営難に陥っていた音楽・映像ソフト販売大手の英HMVが先ごろ自力再建を断念した。HMVのような音楽ソフト販売店大手も経営に行き詰るなど、CDなどを店舗で販売する業態が苦戦するなかで、インターネットを通じた音楽配信がますます存在感を高めている。
HMVが最初の店をロンドンのオックスフォード通りに開いたのは1921年のこと。当時は蓄音機や楽譜、レコードを商っていた。60年代にビートルズは、初めてのデモテープをHMVでカットした。80年代には世界最大規模の旗艦店をロンドンにオープンし、開店イベントには「ライブ・エイド」の仕掛け人でもあるミュージシャンのボブ・ゲルドフが招かれた。
そんな老舗がなぜ経営破綻(はたん)に追い込まれたのだろうか。
国際レコード産業連盟(IFPI)によれば、CDなどの録音媒体の販売数は2007年の約1億4580万枚から11年には9200万枚へと20%以上も減少。この間にインターネットを通じた音楽配信は2倍以上の伸びを示した。
英国のCDと音楽配信を合わせた音楽ソフトの販売市場でHMVは22.9%のシェアを持つ最大手だ。だがその地位も、米アマゾン(シェア22.4%)や米アップルのiTunes(アイチューンズ、同12.8%)に脅かされていた。
HMVもネットストアを開いたり、音楽配信会社に出資するなどの手を打ってきたが、遅きに失したとの見方が強い。