米3月雇用増急減速 一時的現象との見方も
ニューヨーク(CNNMoney) 米労働省は5日、3月の雇用統計を発表した。非農業部門雇用者の前月からの増加数はわずか8万8000人にとどまり、増加幅は9カ月ぶりの低水準となった。CNNMoneyによるエコノミスト調査では、19万人の増加が見込まれていた。
一方、失業率は前月の7.7%から7.6%に低下した。しかしこれは労働人口が50万人近くも減少したことが要因で、朗報とはいえない。労働人口の減少により、労働参加率は63.3%に低下し、1979年5月以来の低水準となった。
ただ、1月と2月の非農業部門雇用者の増加数が6万1000人上方修正されるなど、明るい材料もあった。
部門別で見ると、民間部門の雇用者数はわずか9万5000人増にとどまった。
業種別では、小売りが2万4000人減少。郵政公社でも1万2000人減少した。小売りは、過去6カ月間、雇用者が平均で毎月3万2000人ずつ増加していただけに、今回の数字は大きな失望となった。一方、建設部門は1万8000人増加した。
また政府部門は7000人減少した。
雇用の伸びが鈍化した原因について、ウェルズ・ファーゴのチーフエコノミスト、ジョン・シルビア氏は、今年の力強い景気回復を期待して1月と2月に雇用を増やした企業が、期待したほど売り上げが伸びず、3月に雇用を減らした可能性があると指摘する。
しかし、今回の統計が悪かったからといってあまり悲観すべきではないとエコノミストらは指摘する。たしかに今回の統計はネガティブサプライズであり、労働市場の健全性を疑問視する声もあるが、多くのエコノミストは年末まで雇用は着実に増加し続けると見ている。