EU、緊縮策を緩和 成長重視の姿勢へ
ロンドン(CNNMoney) 欧州連合(EU)の欧州委員会は29日、加盟国に対して競争力強化と若年層の高い失業率への対策に力を入れるよう勧告を出した。緊縮策が加盟各国の経済力を損なうとの批判が高まる中、経済改革による成長重視の姿勢を打ち出した形だ。
欧州委員会は全加盟国に対し、経済成長を加速する改革を積極的に行うよう求めた。バローゾ委員長は「財政強化は進行中であり、今後も続けるべきだ。(その一方で)加盟諸国は今度は構造改革への努力を強めるべきだ」と述べた。
欧州委員会はフランスやスペイン、オランダなど6カ国に対し、財政赤字の削減目標の達成期限を1~2年猶予すると発表。経済成長や雇用創出を促し、政府の歳入増を狙う。
「EUは緊縮財政策を緩和し、構造改革を求める方向にかじを切った」と、英金融コンサルタント会社スピロ・ソブリン・ストラテジーのニコラス・スピロ氏は言う。「景気悪化が深刻なあまり、ユーロ圏における政策立案プロセスへの信頼感が損なわれつつある」
欧州委員会のレーン副委員長は、フランスは猶予期間を生かして労働コストや社会保障費の削減に力を入れるべきだと述べた。