マカオのカジノ仲介業者、40億円の横領被害か
香港(CNN) マカオのカジノでVIP客とカジノを仲介する業者がこのほど、従業員に2億7000万パタカ(約40億円)を横領されたとして警察に被害を届け出た。この業者は元従業員を非難する新聞広告も出して騒ぎは拡大、収入減に直面し健全性をアピールするマカオのカジノ産業にとって新たな痛手となっている。
被害届を出したのは、マカオのカジノホテル「ウィン・マカオ」のVIPルームの運営に携わる仲介業者のドーア・ホールディングス。
「ジャンケットオペレーター」と呼ばれるこうした仲介業者は、上客を精査してカジノのVIPルームに招待し、必要に応じて客に資金を貸し出す。客は中国本土からの現金の持ち出し規制を気にせず遊ぶことができる。
ホテルを運営する米ラスベガスのカジノ業界の大物、スティーブン・ウィン氏は声明で、ホテル側には一切損害は発生していないと述べた。
投資銀行ユニオン・ゲーミングのアナリスト、グラント・ゴバートセン氏によれば、ジャンケットオペレーターは中国本土の客とのビジネスを行ううえで「100%欠かせない存在」だ。
「理由は2つある。まず第1に、客集めだ」とゴバートセン氏は語る。「ジャンケットは自治体レベルで情報網を持ち、中国本土で活動している。誰に信用力があるのかわかっている」
「2つ目は、中国では賭けに絡む負債は法的に負債と認められない点だ。カジノが客に金を貸してそれが踏み倒された場合、カジノとしてはその客に2度と利用させないぐらいしか対応策がない。その点、ジャンケットは債務の回収役も担っている」