英大手企業の採用、名前伏せて選考へ 偏見排除を目指す
ロンドン(CNNMoney) 金融大手HSBCや会計事務所デロイトをはじめとする英国の大企業や地方自治体などの採用試験で今後、応募者の名前を伏せた書類選考が実施されることになった。外国人に聞こえる名前のせいで不利になる状況を改善するため、英政府が提唱している対策だ。
経済協力開発機構(OECD)の調査によると、英国では外国人と思われる名前を持つ人が志望先へ履歴書を送っても、通過する確率は英国人らしい名前の人に比べ、半分にとどまっている。キャメロン英首相はこれを「不名誉な結果だ」と嘆いた。
名前なしでの選考はHSBCとデロイトのほか、英ヴァージン・グループの金融機関ヴァージン・マネー、公共放送のBBC、国民保健サービス(NHS)、地方政府や公共サービス機関が導入を表明している。
デロイトのデービッド・スプロール最高経営責任者(CEO)は「この方式なら無意識の偏見を排除し、民族や性別、過去の事情ではなく将来性に基づいた採用ができる」と話す。
同社はさらに、大卒者の出身校を聞かずに面接を実施する方針も示した。
OECDによると、名前のせいで就職が不利になる傾向は英国だけでなく、調査対象となった先進17カ国のすべてにみられた。米国では「黒人らしい名前」が最も不利との結果が出ている。