トランプ氏、貿易の不公正に対抗 新たな大統領令に署名へ
ワシントン(CNN) トランプ米大統領は31日、主要な貿易相手国との貿易赤字の原因についての調査報告と、反ダンピング(不当廉売)法の厳格な運用を命じる2つの大統領令に署名する。狙いは、貿易赤字の原因となっている不正な貿易慣行への対処だ。
記者会見でロス商務長官とナバロ国家通商会議(NTC)委員長は、大統領令は来週の首脳会談を前に中国に「警告」するのが目的ではないと述べた。
ロス長官は「大統領が(不公正貿易に取り組むという)公約実現に向けた新たな一歩を踏み出したことを世界に知らしめることが目的だ」と述べた。
その一方で長官らは、2つの大統領令には中国との貿易赤字の原因に対する調査・対応も盛り込まれていると述べた。
貿易赤字の要因として長官らは、鉄鋼のダンピングを例に挙げた。米国に対する鉄鋼ダンピングが最も多いのは中国からの輸出品だ。またナバロ委員長は、反ダンピング法に抵触した例の3分の1は中国絡みだったと述べた。
1つ目の大統領令の下、商務省と米通商代表部(USTR)は主要な貿易相手国との貿易赤字に関する詳細な報告を90日以内にまとめることになる。報告では、不正のほか不公平な貿易慣行や不均衡な為替レートがどの程度、貿易赤字に影響しているかがテーマになる。
もう1つの大統領令は、ダンピング取り締まりに関する政府機関の権限強化を狙ったものだ。
ナバロ委員長によれば2001年以降、反ダンピング法違反で課された関税のうち28億ドルが未回収のままだという。
同委員長は「これまでで初めて、われわれは大規模かつ継続的な貿易赤字の原因が何かを探っている。雇用の減少をもたらしているのは、こうした貿易赤字に他ならない」と述べた。