欧州の「バター危機」深刻化、生産減や中国の需要増大が追い打ち
ニューヨーク(CNNMoney) 欧州が深刻なバター危機に見舞われている。
英市場調査会社ユーロモニターによると、世界的なバター需要の急増を受けて、欧州の卸売価格はほぼ倍増した。6月の小売価格は前年比で20%近く急騰している
フランスの製パン業界団体は、この状況を「一大危機」と位置付け、クロワッサンやタルト、ブリオッシュなどの価格急騰を予想。「バターの価格は確かに変動が激しいものの、これほどの域に達した前例はない」「年内にはバター不足が真の脅威になりそうだ」としている。
価格の急騰には複数の要因がある。
中国などの国ではブームの影響でバター需要が増大。かつて心疾患との関係が指摘されて乳製品を控えていた一部の消費者が戻りつつある一方で、欧州での生産量は落ち込んでいる。
かつては消費者がバターに代わってマーガリンなどを選ぶ傾向があったが、その後、世界のバター消費は回復しつつある。
ユーロモニターの専門家によると、消費者はバターのように天然の成分を使ってできるだけ加工されていない食品を選ぶ傾向が強まった。
1人当たりの年間バター消費量の平均は、欧州で2010年の約3.58キロから15年には約3.81キロへと増加。米国では米農務省の統計で、2010年の約2.22キロから15年には約2.54キロへと増加した。
同時に、中国の外国産乳製品に対する需要は急騰している。米農務省の予想では、今年の中国の乳製品の輸入量は38%増となる見通し。そのほぼ全量を欧州連合(EU)とニュージーランドから輸入している。
世界のバター消費量は今年、さらに3%増加する見通しだ。