大韓航空に賠償命令、「ナッツ事件」被害の乗務員に
ソウル(CNN) 米ニューヨークのケネディ国際空港で2014年、大韓航空の趙顕娥(チョヒョナ)副社長が機内でのナッツの出し方に激怒し離陸間際の自社便を引き返させた騒ぎで、韓国の裁判所は20日まで、詰問などにさらされた男性乗務員に2000万韓国ウォン(約199万円)の賠償金を支払うよう大韓航空に命じた。
趙顕娥氏は、大韓航空を傘下に置く財閥率いる趙亮鎬(チョヤンホ)最高経営責任者(CEO)の娘。騒ぎでは搭乗機の乗降ゲートへの引き返しの他、この乗務員の機内からの排除も命じていた。
ナッツは磁器製の容器ではなく、袋に入ったまま出されていたという。乗務員はその後、趙顕娥氏と大韓航空に4億ウォンの賠償金を求める民事訴訟を起こしていた。
ソウルの西部地裁は今回の判決で、大韓航空に対し乗務員の提訴引き下げを強要したとして2000万ウォンの支払いを命令。また、乗務員は趙顕娥氏から受けた威嚇的な振る舞いなどへの賠償金として3000万ウォンの受け取りも認められた。
趙氏は航空関連法違反の罪で禁錮1年の判決を受け、5カ月間収監されていた。
この騒動は「ナッツ姫」問題として韓国社会で怒りを招き、韓国政府は迷惑行為を働く航空乗客への処罰内容を厳しくする対策も講じていた。韓国内では財閥経営の一族の汚職や特権的な行動への国民の不満が長年くすぶっているとされる。
趙亮鎬氏の一家をめぐっては、趙顕娥氏の妹である大韓航空専務も今年、広告会社の幹部の顔に水を浴びせて侮辱した不祥事が発覚。妹はその後、愚かな行動だったと謝罪していた。
父親の趙亮鎬氏はこれらの不手際を受け、大韓航空における姉妹の職務を解任していた。