米リジェネロンの抗体治療薬、治験で「有望」な初期結果
(CNN) 米製薬大手リジェネロンは29日、新型コロナウイルス感染症に対する抗体治療薬の臨床試験(治験)で、患者ののどから検出されるウイルスを減らし、症状を軽減させる初期結果が得られたと発表した。
同社が開発しているのは、ウイルスの増殖を抑えるために2種類の抗体を組み合わせた「抗体カクテル」と呼ばれる治療薬。治験に参加している患者1000人のうち275人についての速報データが、報道発表の形で公開された。
査読付きの科学論文ではないが、同社の報道担当者は、特に高齢者など新型ウイルスへの免疫反応が不十分な患者にとって有効な治療薬となることが確認されたと述べた。
対象者の詳しいプロフィルは不明だが、いずれも治験開始の時点で入院を必要としない病状だった。
リジェネロンの共同設立者レオナード・シュライファー氏はCNNとのインタビューで、入院が必要な患者は自前の免疫反応が十分でないと考えられるため、さらに効果が期待できるとの見方を示した。
同社は今後、入院患者を対象とした試験や、感染者の家族に対して予防的に投与した試験の結果を発表する予定。米食品医薬品局(FDA)との間でも緊急承認を得られるよう交渉を始めているという。
同社の発表について、専門家からは「非常に有望な結果」「のどのウイルスが減少すれば感染リスクも抑えられる」と評価する声が上がっている。
新型ウイルスの抗体治療薬は現在、米イーライリリーも治験を進めているほか、少なくとも70種類が開発中とされる。