極度の貧困層、世界で1億5千万人増の見通し 世銀推計
ニューヨーク(CNN Business) 2020年は新型コロナウイルスに伴う景気後退の影響により、世界で新たに8800万~1億1500万人が極度の貧困に追い込まれるとする推計を、世界銀行が発表した。
世銀は1日1.9ドル(約200円)未満での生活を強いられる層を、極度の貧困と定義している。
今年5月の時点では、2020年中に極度の貧困に陥る人は6000万人と推計していたが、7日に発表された今回の推計ではこの予測を大幅に引き上げた。
新型コロナウイルスによって極度の貧困に追い込まれる人は、来年までの合計で1億5000万人増える可能性があるとしている。
世界の極度の貧困は今年、約20年ぶりに上昇する見通し。紛争や気候変動の影響に新型コロナウイルス禍が相まって、2030年までに世界の貧困を終わらせるという目標は、「迅速で大胆かつ抜本的な政策措置がなければ」達成できない可能性があるとした。
極度の貧困状態にある人は2020年、世界人口の9.1~9.4%に達すると予測している。新型コロナウイルスの流行前は、7.9%に縮小する見通しだった。
今年極度の貧困に追い込まれる人のうち、10人中約8人は、世銀が「中所得」国と位置付ける国の居住者が占める。さらに、従来の地方に加えて、都市圏でも極度の貧困に追い込まれる人が増えていると指摘した。
多くの国では株価の上昇で復興への期待が高まる半面、貧困層が経済成長の恩恵を受ける「繁栄の共有」は縮小したと世銀は指摘。政府が大胆な政策介入を打ち出さなければ、新型コロナウイルス禍が所得格差を増大させかねないと警鐘を鳴らしている。