中国環球時報の胡編集長、引退を発表
香港(CNN Business) 中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報の胡錫進編集長は16日、短文投稿サイト「微博(ウェイボー)」で引退を発表した。同紙は中国国営メディアの中でも特に歯に衣着せぬ国家主義的な報道を行う。
胡氏は同紙の「特別コメンテーター」として職務を続けるとも表明。「引き続き環球時報の発展に貢献し、(中国共産党の)報道や世論に関する仕事に全力を尽くす」との考えを示した。
そのうえで「環球時報に対する皆さんの継続的な支援と関心に心から感謝する。皆さんの励ましと批判に感謝する」とつづった。
胡氏は人民日報の元戦争特派員で、来年で62歳になる。長年をかけて忠実な支持層を築き上げ、中国で最も認知度の高いメディア関係者の一人になった。
2400万人を超えるウェイボーのフォロワー向けに文章と動画で定期的に論評を投稿しているほか、ツイッターでも45万人あまりのフォロワーを集める。同氏の英語ツイートは環球時報の国家主義的で対決的な報道姿勢を反映しており、欧米メディアで引用される機会も多い。
胡氏は2005年から環球時報の編集長を務め、09年には英語版の立ち上げを主導した。
他のすべての中国国営メディアと同様、環球時報は共産党当局の強い統制を受ける検閲環境のなかで報道を行う。他の国営メディアはより穏健な論調を取るが、環球時報は中国に対する脅威や侮辱とみなした言動を批判することで、対決色の濃い国際問題の報道を行っている。
胡氏は19年にCNNの取材に応じ、同紙は世界の読者に向けて中国国民の見解を映し出していると主張。「我々ははっきり物を言う」「急進的あるいは国家主義的と呼んでもらってもいいが、我々が映しているのは中国社会の真の民意だ」と語っていた。
ただ、中国の宣伝機関の観察や分析を長年続けてきた専門家からは、胡氏や環球時報は中国の民意を完全にとらえている訳ではなく、また必ずしも中国政府の公式の立場を表している訳でもないとの声が上がっている。