週4日勤務の試験的プログラム、英国で開始 過去最大の3300人対象
ロンドン(CNN Business) 英国の労働者数千人が、週4日勤務の試験的なプログラムを6日から開始している。賃金カットはなく、この種の試験としては過去最大規模となる。
プログラムの期間は半年で、企業70社に勤務する3300人が対象。業種は金融サービスの提供からフィッシュ・アンド・チップスの店まで様々だ。
期間中、労働者は賃金を100%受け取るが、実際の勤務日数は従来の80%に減る。ただ業務の生産性は100%を維持すると約束することが条件だ。
プログラムは、週4日勤務の実現性を検討するシンクタンクやキャンペーン団体が英米の大学と提携して運営している。
ロンドンの独立系醸造所でブランドマネジャーを務めるシエナ・オルーク氏はCNN Businessの取材に答え、自社の最大の目的について、従業員の心の健康と福利を改善することと説明。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)をきっかけに、仕事と人々の生活をいかに両立させるか、相当考えを巡らせたと述べた。
これまでのところ、週の勤務時間を短縮する試験的プログラムではアイスランドが2015~19年に実施したものが最大規模だった。この時は公共セクターの労働者2500人が2つの大規模な試験に関与した。その結果、参加者の間に一致した生産性の落ち込みは見られなかった一方、従業員の福利は劇的に向上したという。
週の勤務時間の短縮を求める声は、近年複数の国々で高まっている。パンデミックの間に多くの従業員がリモートワークへ切り替えており、より柔軟性の高い勤務形態への要望に拍車がかかっている。
政府が支援する試験プログラムは、年内にスペインとスコットランドでも実施される予定。今回英国でのプログラムを運営した上記のキャンペーン団体が報道向け発表で明らかにした。
研究者らは今後、新たな勤務パターンが生産性の水準や男女の平等、環境、労働者の福利といった事柄にどのような影響を及ぼすか評価する方針だ。