米国の天然ガス価格、14年ぶりの高値に
ニューヨーク(CNN Business) 米国の天然ガス価格が2008年以来の水準に急騰し、ガソリン価格下落の恩恵が相殺されそうな勢いだ。
天然ガス先物は16日に7%急騰し、終値としては08年8月1日以来最も高い100万BTU(英国熱量単位)当たり9.33ドルで取引を終えた。
17日には少し下落したが、6月末から約70%上昇している。新型コロナウイルス感染症が米経済の大部分を停止させた20年6月の終値1.48ドルからは525%も上昇している。
今夏の高騰は需要増が一因だ。米全土で異常な高温が続き、人々はエアコンをつけざるを得なくなった。そのため天然ガスの在庫は少なくなっている。
秋から冬にかけて気温が下がると、天然ガスの高騰は家計に大きな影響を与える。天然ガスは発電の主要燃料であるだけでなく、米国では家庭の暖房によく使われている。
トータス・キャピタル・アドバイザーズのシニアポートフォリオマネジャー、ロブ・サンネル氏は「天候次第では厳しい冬になるかもしれない。しかし、欧州ほどではない。欧州は天然ガスが枯渇する危機にさらされている」と指摘する。
欧州の天然ガス危機はロシアのエネルギーに依存していることが原因だ。ロシアは欧米の制裁措置を受けて、欧州への天然ガス輸出を減らしている。
欧州連合(EU)は天然ガスの配給計画を立てざるを得ず、家庭や企業に打撃を与える思い切った措置となっている。天然ガス価格は高騰しており、欧州経済が後退する恐れがある。
米コンサル会社リポウ・オイル・アソシエーツのアンディ・リポウ社長によると、欧州の天然ガス価格は100万BTU当たり約70ドルに相当する水準で取引されているという。これは米国の約7倍だ。