コロナ後遺症で最大400万人が働けず 米調査結果
ニューヨーク(CNN Business) 新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)は労働力に影を落とし続けている。新型コロナから回復して数カ月後あるいは数年後にさまざまな症状が現れるコロナ後遺症により、最大400万人の米国人が働けていないことが研究で明らかになった。
24日に発表された米シンクタンクのブルッキングス研究所の報告書によると、労働年齢(18〜65歳)にある米国人約1600万人が現在コロナ後遺症を患っている。
コロナ後遺症に苦しむ人々はブレインフォグ(集中力や思考力の低下)、不安、うつ、疲労、呼吸困難など働くことを困難にするさまざまな症状を抱えている。
200万〜400万人がコロナ後遺症のために働くことができていないと同研究所は推定する。この範囲の中間値である300万人のフルタイム労働者は、米国の労働力全体の1.8%を占めるという。
この調査結果は、教育、飲食、ヘルスケアなど多くの産業が深刻な労働力不足に苦しみ、過去40年間で最悪のインフレを引き起こしている中で発表された。
米国では6月時点で1070万人分の労働力が不足。最近の記録的な高水準からは減少しているものの、新型コロナ流行前の水準である700万人をはるかに上回っている。
コロナ後遺症の経済的コストは大きい。米国の平均賃金(週給1106ドル=約15万円)に基づくと、300万人の労働力不足は年間約1680億ドルの逸失利益に相当するとブルッキングス研究所は試算している。
研究著者らは「コロナ後遺症患者が高い割合で回復し始めなければ、経済的負担は増加し続ける」と指摘。コロナ後遺症患者が毎年10%ずつ増えれば、10年後の賃金損失は年間5兆ドルに達するという。