米連邦機関、ガスコンロの禁止を検討
ニューヨーク(CNN) 米連邦機関がガスコンロの禁止を検討している。室内の汚染の一因であり、子どもの喘息(ぜんそく)を引き起こすとみられるためだ。
米消費者製品安全委員会(CPSC)の委員を務めるリチャード・トラムカ・ジュニア氏が今週、論争に火を付けた。同氏はブルームバーグ通信のインタビューに答え、ガスコンロが「隠れた危険」をもたらすと指摘。同委員会によって禁止する可能性を示唆した。
同氏はCNNの取材に対し、ガスコンロを巡り「あらゆることを検討中」だと確認したが、禁止されるとしても対象になるのは新しい製品のみであって既存の製品に適用されることはないと強調した。
CPSCは数カ月にわたり、ガスコンロの禁止措置を検討している。昨年10月には、ガスコンロにまつわる危険について一般から意見を求めるよう勧告していた。そこから出る汚染物質は喘息と関係があり、呼吸状態を悪化させる。
昨年12月、環境研究と公衆衛生に関する国際誌に掲載された調査によれば、屋内でのガスストーブの使用は子どもたちの間で喘息のリスクを高めることが分かった。現状で子どもが患っている喘息の約13%はガスコンロの使用に由来するという。
しかしホワイトハウスは11日、バイデン大統領がガスコンロの禁止を支持していないと明言した。
トラムカ氏によると、ガスコンロを電気コンロに代えようとする消費者は、インフレ削減法を通じて最大840ドル(約11万円)の払い戻しが受けられる。またガスから電気への切り替えにかかる費用のうち最大500ドルが補償されるという。
米エネルギー情報局の調べによれば、米国内では35%の世帯がガスコンロを使用。カリフォルニア州やニュージャージー州などではこの割合が70%に迫る。別の研究結果は、これらのガスコンロから相当量の二酸化窒素、一酸化炭素、微粒子物質が排出されると指摘する。適切な換気を行わなければ、室内での濃度レベルは環境保護庁(EPA)が安全ではないとみなす水準にまで高まる恐れがあるという。
米国の一部の都市では新たな建物を建設する際、温室効果ガス排出削減の観点から天然ガスの配管設置を禁止している。一方、昨年2月の時点で共和党が主導権を握る20の州では、各都市に天然ガス禁止を禁じる法律が成立した。
米国ガス協会は昨年12月、ブログへの投稿で天然ガスの禁止に反発。「住宅の電化は高額な設備組み込み費用が必要になる」とし、住居費を押し上げる施策だと指摘した。