アジアで銀行株下落、クレディ・スイス巡る懸念で市場動揺
香港(CNN) 16日のアジア市場では銀行株が下落し、市場全体の株価を押し下げた。スイス金融大手クレディ・スイスの問題をきっかけに、銀行業界の混乱が世界に広がっているとの懸念が高まった。
ただ、クレディ・スイスが資金繰りのためスイス国立銀行(中央銀行)の支援を受けると報じられたことで、損失は限定的となった。
クレディ・スイスは、スイス国立銀行から500億スイスフラン(約7兆1000億円)を借り入れる方針を発表。15日の取引ではクレディ・スイスの株価が30%下落した。
クレディ・スイスは中銀からの融資について「流動性を強化するための断固たる措置」だとしている。
日本のTOPIX(東証株価指数)は午前の取引で一時6.4%下落。今週ここまでの下落幅は8%を超える。
香港では英銀スタンダードチャータードが4%近く値を下げ、英HSBCも2.5%下落した。地元の中国銀行(BOC)香港は3.1%安だった。
韓国では大手銀行の新韓金融グループとKBファイナンシャルグループがそれぞれ1.2%、0.5%下落した。
豪シドニーに拠点を置くオンライン証券会社、ACY証券のチーフ・エコノミストを務めるクリフォード・ベネット氏は「我々が目にしているのは、ITと銀行の両分野で投資家の信頼が決定的に崩れつつある事態だ」と説明。「こうした懸念が近いうちに消え去る可能性は非常に低い」との見方を示した。