東京高裁、袴田さんの再審開始認める 地裁決定を支持
(CNN) 1966年に静岡県でみそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件で死刑が確定し、2014年に静岡地裁が再審開始を決めた袴田巌さん(87)について、東京高裁は13日、静岡地裁の決定を支持する判断を下した。
弁護団の角替清美弁護士がCNNに語ったところによると、東京高裁は13日、死刑確定の根拠とされた衣類の証拠に信用性がないことを認め、釈放の維持を支持した。
角替氏によれば、高裁は犯行時の着衣とされた衣類5点について、捜査当局がみそ工場のタンクに投入した可能性が高いと判断した。弁護側は、袴田さんが犯行時に投入したとすれば、数カ月後に発見されるまでに血痕の色が黒くなっていたはずだと主張してきた。
検察が20日までに特別抗告しなければ、静岡地裁で再審の裁判が始まるが、現時点で時期は明らかでない。
日本の刑事裁判は有罪率が99.9%と極めて高く、自白に大きく依存している。米国とともに、死刑制度が存続する数少ない先進国でもある。袴田さんは、世界で最も長く収監されている死刑囚に認定されている。
袴田さんは強盗殺人罪などに問われた裁判で、当初は有罪を認めたものの撤回。警察が証拠をねつ造し、自白を強要されたと主張したが認められず、死刑判決を受けた。
静岡地裁が14年に再審開始を決定し、袴田さんを釈放したが、東京高裁は18年、開始決定を取り消した。最高裁は20年、審理を高裁に差し戻していた。