中国市場での明暗、エアバス優勢強めボーイングは大きく後退

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中国・天津にあるエアバスの最終組み立て工場/Airbus

中国・天津にあるエアバスの最終組み立て工場/Airbus

ニューヨーク(CNN) 欧州の航空機製造大手「エアバス」は15日までに、中国に二つ目の最終組み立て工場を建設する計画を発表した。

米中貿易関係の悪化を背景にライバルの米ボーイング社が重要市場である中国で劣勢にある中、エアバスが着々と地歩固めを図っていることを示す計画となっている。

新たな工場建設は、フランスのマクロン大統領が先に訪中した際に発表。合意文書へのエアバス首脳の調印はマクロン氏と中国の習近平(シーチンピン)国家主席が共に見守った。

この合意事項にはエアバス製の航空機160機の中国への新たな売却も盛り込まれた。中国内の路線に投入されている同社の機材は2100機以上となっている。

エアバスは2008年、中国・天津市に最終組み立て工場を開設。A320型機の600機を仕上げてきたこの施設に二つ目の工場を追加する。

エアバスの組み立て工場は世界の4カ所にある。同社は、中国の航空輸送量は今後20年間で年率5.3%増えると予測。世界規模での平均3.6%増を大きく上回っている。

中国の新たな航空機需要は現在から41年までの間に旅客機と貨物機で8420機に達するとも予想。世界全体での20%以上を占めるとも見込んだ。

一方、ボーイングは中国の航空会社から17年以降、商業機の新たな発注は受けていない。受注は中国の航空機リース企業からだけで、それも海外の顧客のための代行注文だった可能性がある。

ボーイング社による中国の顧客への機材引き渡しは激減し、今年これまでは中国貨運航空への777型貨物機の1機のみだ。昨年はリース企業への貨物機8機と他の4機となっていた。

同社は17年、計161機を中国の顧客に納入し、翌年は若干増えていた。19年には45機に落ち込んでいた。17年は米国のトランプ前政権が赤字解消のため中国からの輸入品に最初の追加関税を課し、貿易摩擦が生じた年でもあった。

ボーイング社の主力製品で需要も旺盛だった737MAX型旅客機が墜落事故を2度起こして長期の運航停止を強いられたり、新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)で航空需要が急減したりした影響もあった。

A320型機系の有力な競合機材でもあった737MAXは飛行制御装置の改良もその後にあり、航空会社による運航を米連邦航空局(FAA)などが改めて認可したが、中国はこれに呼応する最後の国の一つともなっていた。同型機を使っていた中国の航空会社は運航停止の期間中、発注契約に基づき製造された計138機を一切引き取らなかったという。

この138機は結果的に、ボーイング社の保管施設に留め置かれ、割引き価格での売却先を探す羽目にも陥っていた。

ボーイング社のカルフーン最高経営責任者(CEO)は昨年10月、中国市場でのエアバスとのしのぎ合いについて「社としてできることは、待ちの姿勢で両国間の関係改善を期待することに尽きる」と投資家との会合で指摘。「関係が好転すれば再び販売や納品が相当に伸びる」と望みをつないだ。

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