ドイツがリセッション入り、エネルギー価格高騰による消費低迷響く
ロンドン(CNN) 欧州連合(EU)最大の経済規模を持つドイツがリセッション(景気後退)入りしたことが、25日発表の公式データから分かった。昨年のエネルギー価格の高騰で消費が落ち込んだことが要因とみられる。
ドイツの1~3月期の国内総生産(GDP)は前期比0.3%減と、昨年10~12月期の0.5%減に次ぐマイナス成長を記録した。連邦統計局が当初のゼロ成長から下方修正した。
GDP成長率が2四半期連続でマイナスになると、リセッションと定義される。
連邦統計局は、物価高の継続が依然としてドイツ経済の重荷になっていると指摘。とりわけ家計の最終消費支出は1~3月期で1.2%低下したと明らかにした。
パンテオン・マクロエコノミクスでユーロ圏担当チーフエコノミストを務めるクラウス・ビステセン氏によると、第1四半期の消費者支出は「エネルギー価格ショック」に水を差されたという。
欧州のエネルギー価格はロシアがウクライナに侵攻した昨年2月からすでに上昇し、記録的な水準に達した。ロシア政府がその後も欧州諸国への天然ガス供給を制限し続けた結果、ドイツの経済状況は深刻化した。
天然ガス価格はその後低下し、現在は2021年後半の水準に落ち着いた。これは消費者支出に対するインフレ圧力の緩和を示唆する。4月のドイツのインフレ率は年率換算で7.2%に低下したが、それでもまだ高い水準にある。
ドイツのリセッションについては、長く続かない兆候も出ている。今週発表された5月のデータによると、国内の企業活動は再び増大に転じた。ただ製造業は大きな落ち込みを記録している。
ショルツ首相はドイツ経済の見通しを「非常に良好」と説明。直近の数カ月で複数の施策を打ち、再生可能エネルギーの分野などで大幅な拡大を見込んでいることを示唆した。