危機に瀕するオリーブオイル業界、南欧の猛暑と干ばつで苦境に
(CNN) オリーブオイル業界に危機が迫っている。
今夏に南欧を襲った猛暑では命を落とす人が相次ぎ、壊滅的な山火事が発生する恐れも出ている。これはオリーブの木にとっても非常に悪い状況で、業界の専門家からは、価格高騰や潜在的な品不足に警鐘を鳴らす声が上がる。
市場調査会社ミンテックで油や油用種子を担当するカイル・ホランド氏によれば、暑さが限界を超えると、オリーブの木は果実を落として水分を節約するか、木の健康を犠牲にしてまで果実を付けざるを得なくなる。
オリーブは欧州が観測史上最も暑い夏となった昨年も不作だっただけに、現在の状況は一段と深刻だ。
ホランド氏によると、世界最大のオリーブオイル生産国であるスペインでは、過去5年間に年平均約130万トンを誇っていた生産量が約62万トンにまで落ち込んだという。
世界有数のオリーブオイルブランド「フィリッポ・ベリオ」の英国部門、フィリッポ・ベリオUKのウォルター・ザンレ最高経営責任者(CEO)は、「前回の収穫であれだけの不作に見舞われた後、再び不作に見舞われるのは業界として何としても避けたい」と語る。
だが現状を見る限り、事態はその方向に向かっているようだ。今年の夏、地中海地域は広い範囲で熱波に見舞われ、「灼熱(しゃくねつ)地獄」の様相を呈した。科学者らは、このような猛暑は気候変動なしにはほぼ起こり得なかったと指摘する。