偽エクストラバージンオリーブオイル横行 低品質オイル混入、健康被害の恐れも
オリーブオイルに特徴的な緑がかった黄色を出すために、クロロフィルやベータカロチンを使って着色する業者も増えている。
コルディレッティによると、2023年は地中海のオイル生産が41%減少した。春の降雨量が極端に多かったことからオリーブの開花が減り、成長したオリーブの実も夏の猛暑で干からびた。
このため生産者が市場の需要に対応できなくなり、地中海のオイル産地にいわゆる「農業マフィア」が入り込んで、偽エクストラバージンオリーブ生産業を発展させた。
「消費用のオリーブオイルに質の低い代替品を混ぜることで、犯罪組織が合法的なサプライチェーン(供給網)に入り込んで価格競争力を高めた」とユーロポールは解説する。「こうした不正は健康リスクを生じさせるだけでなく、消費者の信頼を失墜させ、さらなる経済的反動を招く」
チェーンソー窃盗
犯罪組織が不正品を製造するためには質の高いオリーブオイルを必要とする。
そのためオリーブオイルの木や枝が丸ごと盗まれる事件も増加した。ギリシャやイタリアでは、オリーブの実をいっぱいにつけた木や枝がチェーンソーで切り落とされ、丸ごと盗まれる事件が頻発している。
ギリシャ、スペイン、イタリアでは、オリーブ倉庫への侵入事件や、収穫機を破壊して収穫を遅らせ、その間にオリーブを盗もうとする手口も増加した。
欧州委員会の22年の報告によると、オリーブオイルは欧州でラベルの偽装が最も多い食品の一つとされている。