職探しにAIを活用するメリットとデメリット

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職探しにAIを活用するメリットとデメリットとは?
/Alexandre Rotenberg / Alamy Stoc/https://www.alamy.com/Alamy Stock Photo

職探しにAIを活用するメリットとデメリットとは? /Alexandre Rotenberg / Alamy Stoc/https://www.alamy.com/Alamy Stock Photo

ニューヨーク(CNN) 職探しの際、求職者は企業に与える第一印象を良くするために生成AI(人工知能)を使い始めている。

米調査会社ガートナーによると、求職者は対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」のような無料のAIプログラムに、特定の企業や職に合った履歴書を作成させたり、添え状や文章のサンプルを書かせたり、応募書類の質問に回答させているという。

またAIは、面接の質問に対する回答を準備する上でも役立つ。

CNNが話を聞いたキャリアの専門家たちは、AIは求職活動を容易化、迅速化し、特にさまざまな企業の多くの職に応募する際に有効と口をそろえる。

しかし、求職者はAIが提供する情報をやみくもに利用すべきではないという点でも意見が一致している。

人材スカウト会社ロクリン・コンサルティングのキャリアコーチ兼マネジングパートナー、ダーシ・スミス氏は、「AIをツールとして利用するのはいいが、それだけに頼ってはいけない。AIの回答をそのまま使うのではなく、テンプレートとして利用すべき」と語る。

つまり、AIの回答はあくまで一つの案であり、自分の経験や人物像をより正確に反映させるために微調整する必要があるということだ。またAIの回答に違和感を覚えたら、その情報は誤りかもしれない。実際、チャットGPTには「不正確な情報が提供される可能性もある」との注意書きもある。

カスタマイズして状況分析を

また求職者は、チャットGPTで自分の応募書類に記載漏れがないかを確認したり、より良い表現や、自分の成果や実績をより際立たせる方法がないかを確かめたりという使い方もできる。

ある意味、AIが作成した履歴書や添え状を自分で作成したものと比べるというのは、グーグルや友人にセカンドオピニオンを求めるのと大して変わらない、とキャリアコーチのデビッド・ティミス氏は言う。

しかし一方で、AIに頼りすぎて自分で考えなくなるのは危険だ、とティミス氏は警告する。

「(書くことは)思考力を向上させる一つの方法だが、AIを使えば、自分で考える必要がなくなる。これは教育にとって脅威だ」(ティミス氏)

また、自分の代わりにAIに考えてもらっていると雇用される機会を失う恐れもある。企業の採用担当者が、求職者が自分で考えた回答ではない、あるいは、コンピューターが生成した回答だと気付く可能性もあるからだ。

スミス氏も「電話やズーム(での面接)で求職者が回答を読んでいる時、まるでロボットのような話し方だとか、あまりに準備をしすぎていると感じることがある」という。

また、応募書類は素晴らしいのに、面接でよどみなく話せなかったり、明確な文章が書けないと、AIを使って書類を作成したことがばれてしまう。

しかし、仮に自分が応募している職が技術職で、文書で顧客と直接コミュニケーションを取る必要がない場合は、面接で応募書類を作成する際にAIをツールとして利用したと伝え、そのようなスキルを持つ自分こそ、その職に最もふさわしい人材だと強調すればいい、とスミス氏は指摘する。

AIが役に立たない場合

中には求職者がAIを使うことに不快感を示す雇用主もいるが、AIも一つのツールであり、それを使いこなせるということは有能である証拠でもあるので、特に気にしない雇用主もいるだろう、とガートナーの人事部門のシニアリサーチディレクター、ジェイミー・コーン氏は言う。

しかしその場合、面接官には、求職者が創造的に考えたり、自力で問題を解決する能力があるか否かを探る責任が生じる。

コーン氏によると、一部の企業は面接官がAIでは答えられないような補足質問をする訓練も必要かもしれないと考えているという。

例えば、ある状況への対応の仕方についての質問にAIを使って回答した場合、面接ではその回答の背後にある論理や、その状況に1つか2つの変化が生じた場合にどう対応するか聞かれる可能性もある、とコーン氏は指摘する。

つまり、面接官の前で自分の知識や技術を証明する必要があるのだ。また自分がどういう人間で、どのように仕事を進めるかも面接官に理解してもらう必要がある。なぜなら、面接ではスキルや経験のみで評価されるわけではなく、その企業の文化にどれだけうまく溶け込めるかも評価されるからだ。

「私の顧客企業も人間らしい人材をより強く求めている。我々はこのような構造化されたロボット的なツールを使用しているが、企業が求めているのは人と人とのつながりであり、これは微妙なバランスだ」とスミス氏は語る。

また履歴書の作成支援サービスを提供するレジュメビルダーのチーフキャリアアドバイザー、ステイシー・ホーラー氏は、上級職に応募する人は、すでに自分で作成した書類の簡単なチェック以外の目的でAIを使わない方がいいとアドバイスする。

ホーラー氏は、Cスイート(企業の経営をつかさどる)レベルの幹部がAIを使って作成した履歴書を見たことがあるが、まるで大学の新卒者が作成したような履歴書だったという。Cスイートレベルになると、組織の中でどのように戦略を立て、成果を出すかが重要であり、AIは全く役に立たないとホーラー氏は言う。

また現在の職とは全く異なる新しいキャリアをスタートさせたい人にも同じことが言える、とコーン氏は指摘する。転職を希望する理由は人によって異なり、AIにはその人が転職を決意するに至った経緯は分からないからだ。

変わらない点も

AIのような新しい技術のおかげで、職探しの効率は上がったが、今でも多くの求職者が極めて人間的な方法で仕事を見つけている点は覚えておいて損はないだろう。

「その方法とは、多くの人と知り合うことだ。職探しの最良かつ最も一般的な方法は人脈の活用だ」(ホーラー氏)

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