中国の原油輸入先、昨年はロシアが最大 米欧制裁で格安価格得て
香港(CNN) 中国税関総署は25日までに、中国がロシアから2023年に輸入した原油は前年比で約24%増の約1億702万トンに達したとの統計を発表した。
ロシアがサウジアラビアを抜き、中国の最大の原油輸入先になったことを意味する。サウジの中国向け輸出は約8596万トンで22年比で2%減だった。原油輸入先の比率では、ロシアが19%でサウジが15%となった。
中国によるロシア原油の輸入増は、ウクライナ侵略に伴う欧米諸国のエネルギー制裁を受けロシアが格安の価格で輸出先の確保に努めたことが要因とされる。
中国の原油輸入先ではロシアが8年前に首位に立ったこともあったが、19〜21年にかけては対中のエネルギー取引の拡大に努めるサウジがその座を占めていた。
中国は22年以降、ウクライナ侵略に絡む欧米の制裁を受け安価なロシア産原油の調達に触手を伸ばし、22年には前年比8%増の約8624万トンに広げていた。インドも輸入を激増させる措置を選んでいた。
CNNの算出によると、中国が昨年、ロシア産原油の購入に充てた支出額は約606億4000万米ドル。1トンあたりの平均の輸入価格は566.64ドルとなる。同じ基準で626.86ドルとなるサウジ産原油と比べ平均で約10%の割安となっている。
買いたたいた価格でロシア産原油の確保に動いたことは中国のエネルギー輸入費の節約にもつながった。サウジ産やイラク産を含めた原油の全般的な入手量は増えたものの、中国税関総署の統計によると、原油輸入費の総額は昨年、前年比で7.7%減の3375億ドルに落ち込んでいた。
石油業界の専門家によると、中国によるロシア産原油への傾斜の深まりはサウジによる減産政策も一因となっている。同国は昨年、7〜12月期を通じ日量で約100万バレルの追加の減量に踏み切った。原油価格の高値維持などを狙ったロシアも同じく生産減少、輸出減の追加を打ち出したが、規模としてはサウジの措置の半分程度だったという。
ウクライナ侵略の発生以降、中ロ関係では過去2年余、エネルギー分野以外での関係強化も目立つ。2国間の全般的な貿易額は昨年、過去最高となる約2400億ドルを記録。22年比では26%増で、両国が19年に据えていた目標数値を約1年早く達成する緊密な関係深化も見せつけていた。