米ボーイング、立て直しの「最後のチャンス」 エミレーツ航空社長が警告
ロンドン(CNN) 中東エミレーツ航空のティム・クラーク社長はこのほど、安全面や製造上の失策が相次ぐ米航空機大手ボーイングに触れ、評判を立て直す時間がなくなりつつあると警告した。
4日に公開された英紙フィナンシャル・タイムズとのインタビューで述べた。クラーク氏はこの中で、ボーイングの品質基準が「徐々に下落」するのを目の当たりにしてきたと説明。技術的な卓越性よりも利益を優先するなど、経営や企業統治の失策を長年積み重ねたことが原因にあると指摘した。
そのうえで「ボーイングは自社の製造工程を徹底検証する必要がある。デビッド・カルフーン、スタンリー・ディール両氏はそれに意欲的だと確信している」と述べ、「これは最後のチャンスだ」と言い添えた。カルフーン氏はボーイングの最高経営責任者(CEO)、ディール氏は商用機部門のトップを務める。
エミレーツ航空はこれ以上のコメントを控えた。
ボーイング737MAX9型機の胴体の一部が飛行中に吹き飛ぶ事故が1月初旬に発生して以降、ボーイングを批判する航空会社の幹部はクラーク氏が初めてではない。ユナイテッド航空のスコット・カービー最高経営責任者(CEO)は先月、米CNBCとのインタビューで、ボーイングは「絶えず製造面の課題に見舞われている」と嘆いた。
ただ、クラーク氏は航空業界有数の知名度を誇る人物であり、1980年代からエミレーツ航空の要職を歴任している。エミレーツ航空はボーイング有数の顧客で、昨年11月には、長距離路線に使用する広胴型機のボーイング777と787を95機発注。発注額は合計で520億ドル(現在のレートで約7兆7000億円)に上った。