著名投資家レイ・ダリオ氏、トランプ関税で「景気後退より悪い事態」を懸念
香港/ロンドン(CNN) 著名投資家のレイ・ダリオ氏は、米国のトランプ大統領による関税戦争が、米国を景気後退か、あるいはそれ以上に「もっと悪い事態」にさえ近づけていると述べた。
ヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエーツ」創業者のダリオ氏はNBCの番組で、「現在、われわれは大きな決断を迫られる段階にあり、景気後退に非常に近いところにいる」と述べた。「うまく対処できなければ、景気後退よりもさらに悪い事態になるのではないかと懸念している」
2008年の金融危機を予測したダリオ氏は、ウォール街の大手銀行を含む多くの声に加わった。金融大手は、トランプ氏の関税政策が米国経済を停滞させるのではないかと懸念している。
ダリオ氏は、関税を「安定的」に実施するのか、それとも「混乱を招く破壊的な」形で実施するのかで、「世界に大きな違いが生まれる」と付け加えた。
トランプ氏は関税について、製造業を国内に呼び戻し、雇用と税収を増やすことを目的としていると説明している。だが、ダリオ氏は、関税政策がこれまでのところ、「非常に混乱を招いている」とし、関税は「生産システムに石を投げ込むようなものだ」と付け加えた。
トランプ氏による世界への関税攻勢は世界的な市場の混乱を引き起こし、景気後退への懸念を高めている。トランプ氏は先週、すべての「相互関税」について90日間の猶予措置を宣言したが、中国に課しているものは対象外とした。
ただ、米国税関・国境警備局が通達によれば、スマートフォンやコンピューター用モニターなど、中国製の一部電子製品は、関税の対象から除外されるという。ただし、それらの製品は依然として中国に課せられている20%の関税対象となる。