ローマ法王の豪華な専用車 トラックからリムジンまで
一方で、各国を訪問する際にはその国の車も使った。ポーランド出身のヨハネパウロ2世が1979年に祖国を初訪問した際は、ポーランドのメーカーFSCのトラックの改造車を利用。1982年のスペイン訪問では同国のメーカー、セアトの「パンダ」を改造したオープンカーを使い、同年の英国訪問では同国のメーカー、レイランド・モーターズのトラックに乗った。
1980年にはメルセデスが「230G」をベースとした特注車の製造に着手し、ヨハネパウロ2世のドイツ訪問に合わせて「ポープモービル」と名づけた専用車を完成させた。81年に起きた暗殺未遂事件の後は、防弾ガラスも装備された。
ベネディクト16世は2007年以来、主にメルセデスの「G500」か小型の「ML430SUV」を改造した専用車を使い、悪天候の場合などは「Gクラス」の改造車も使った。厚さ8ミリの防弾プレキシガラスは法王を悪天候から守る一方で、信者からは法王の姿がよく見える。しかしガラスに囲まれた車内は日が当たると温度が上がってしまうため、間もなく強力なエアコンが装備された。
側面と床と天井部分にはスポットライトが付いて直接的、間接的に法王を照らし、暗くなっても信者から姿が見える仕様になった。安全装備もさらに強化され、窓ガラスのほか車体側面と床も爆弾に耐えられる装甲が施された。